クールビズは2005年、小池百合子環境相(現東京都知事)が提案。環境省が旗を振る中、民間への冷房の適切な室温管理の呼びかけは変化した。資源エネルギー庁は近年の猛暑を受け、23年に「健康を第一に、温度は柔軟に設定」と「28度」の文言を削除。省エネを進めるために熱中症などで健康を害しては元も子もないとの理由だ。
省庁や多くの地方自治体は目安を維持する。温室効果ガス排出削減を目指し、空調設備がある場合は室内の気温を18~28度、湿度40~70%となるように努めなければならないとした事務所衛生基準規則が根拠だ。
熊本県は木村敬知事(元鳥取県財政課長)が5月の会見で「環境に影響をかけない範囲で、なるべく快適な執務環境で生産性を上げた方がいい」と言及。28度の目安を維持した上で、フロアによっては温度が異なる状況を改善しようとこまめに温度調整を進める。兵庫県姫路市は19年から室温を25度に設定しており、費用の増加よりも職員の時間外勤務が減るなどの効果が上回ったという。